30年ほど前、ボクシングのコーチをしていた私は指圧を学ぼうとして、医王会指圧センターで経絡指圧と言う言葉を知りました。経絡指圧は「病気を治す」ための指圧として、故 増永静人先生が創始した療法です。
増永先生がまだ若くして亡くなられたのは、経絡指圧の普及の為に、治療や原稿書き、海外セミナーなどと無理をし過ぎたからだそうで、自分の健康よりも経絡の普及解明に重きを置かれたからです。
経絡の 経 は縦のつながりで、絡 は横のつながりという意味で、経絡は内蔵と筋肉を結んでいます。ツボとは、東洋医学の世界で正しく表現すると、経穴(けいけつ)といい、700以上の穴のことを指し、穴が空いているところがツボです。
ツボを扱うものはすべて中国発祥のものだとは言い切れないほど、現在は日本流に発展しています。日本の漢方湯液も発祥こそ中国ですが、日本人の感性によって長い年月を掛けて熟成され、日本独自の医術として発展しました。
経絡指圧の名前に経絡の名称を冠しているので、中国式のイメージがあるかも知れませんが、経絡そのものは一つの自然現象で、それがツボ療法として中国で発展したに過ぎません。経絡指圧は欧米では良く知られた指圧法です。
一般の指圧が症状別に分類した ツボ を施術するのに対し、経絡指圧では各人の症状に適した スジ を探し出し、そのスジの上をその状態に合わせて常に12本の経絡線上を順次指圧するものです。この スジ を 経絡 と呼びます。
超能力的な 虚実の証診断 をされた天才指圧師、増永静人先生には会ったことはありませんが、医王会指圧センターの指圧教室の先生は、増永先生に指導を受けた方でした。
指圧教室の先生が授業で、私の足の三里あたりをつかんだまま、気持ちが急いていますね? と 証診断されたのには驚きました。いつもと同じ通りにしていたつもりでしたが、授業後の予定が有って、その気持ちを読まれたのです。
その先生は新潟で開業するとかで辞められ、私も10回コースの指圧教室後はいつの間にか経絡指圧とは無縁になってしまいましたが、身体に触れただけで精神状態が分かる経絡指圧を体験した記憶は今でも鮮明に思い出します。
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